実践神学とは
作成:川上純平(2008/2/5)
実践神学とは教会が行なう教会固有の実践に関する理論の学である。
もともとキリスト教信仰そのものが実践的性格を持ち、全ての神学諸部門は実践的なものとされていたゆえに、実践神学という部門自体は最初は存在しなかった。しかしながら、4世紀頃の神学者たちが牧師の実践に関する牧会学を始め、19世紀の神学者Fr.D.E.シュライエルマッハーが実践神学という部門を学的に組織し、実践神学を「神学の冠」として重要視した。彼は、実践神学がそれまでは他の神学諸部門において導き出され結実したものを教会の実践という場面において応用するものとされていたのに対して独自の理論と体系を持つものとした。それに加えて、現代においては理論が「実践的な事実」の概念以上のものでないこと、実践から理論が生ずるということを基礎とすることもあり、実践神学は、実際の教会の現場からの問い、この世に生きる人間の問いに答えること、教会と世界の問題について福音から理解することを必要とするものとされ、それは建設的な自己批判を伴ったものとして行なわれるものとされている。
実践神学は、説教論、牧会論〈牧会カウンセリングを含む〉、礼拝学、礼典論、教会教育論、教職論、宣教論、教会法学等に分類することができる。ちなみに、教会と国家、人権と差別の問題、環境破壊、農業・農村問題、エネルギー問題、平和運動などはここに含まれる(説教論や牧会論は教会で説教や牧会を行なう者、特に牧師が学ぶべき内容である)。
〈参考文献〉
・『キリスト教大事典』、教文館、1991年〈改訂新版第10版〉。
・『総説 実践神学』、日本キリスト教団出版局、1993年〈再版〉。
・『総説 実践神学U』、日本キリスト教団出版局、1993年〈初版〉。
・石井裕二著『実践神学の問題と課題』(講義:キリスト教教化学研究T『実践神学概論』の講義レジュメ)、同志社大学神学部、1994年。