「２００７年 ポナペ交流の旅」について ２００７年９月１０日 川上純平
今回の旅の目的
私は２００７年８月１６日（木）から８月２７日（月）までミクロネシア連邦にあるポンペイ州（ポナペ）に行ってきました。これは、今までポナペ支援会会長としてワークキャンプにおいて重要な役割を果たしてきた故白神章道先生（前日本キリスト教団水戸教会牧師）の「納骨式（骨をポナぺの地に納める式）」を行なうこと、ポナペにおいて十数年尽力された荒川義治先生（元日本キリスト教団在外教師）と荒川和子さんが１９７７年にポナぺ・ワークキャンプを始めて３０周年という年、ポナペにあるキリスト教主義学校であるオア・クリスチャン・ハイスクール創立２０周年という年であること、ポナペの諸教会への最後の公式訪問が目的でした。
ミクロネシア連邦ポンペイ州について
ミクロネシア連邦ポンペイ州は、ミクロネシア連邦の首都があり、太平洋にある、ほぼ赤道直下に位置する島です。成田から飛行機で３時間半かけてグアムへ行き、グアムから飛行機で３時間ほどかけて、ポナペ島につきます。
ポナペは、一年を通しての平均気温が２７度、湿度８５％、熱帯雨林気候のどかさ、人の少なさ、もの静かさ、素朴さ、人々の態度、日本（特に昔の日本）と共通する部分も多いですが、異なる部分もあります。きれいなエメラルド･グリーンの海のサンゴ礁とカラフルな魚たち、真っ青な空、豊富な植物、色とりどりの花や鳥たち、おいしい果物類、にこやかで温和な人々、どれもポナペの魅力です。
ちなみに、ポナペはグアムと違いアメリカ合衆国ではありませんが、１９８６年に独立するまで、アメリカ領で、その信託統治下にありました。１９８６年に独立した時、はじめての大統領は日系人でした。スペイン、ドイツ、日本、アメリカによって統治された経験があり、住民のほとんどがキリスト教徒です。
私たちが交流し、関わったのはポナペ合同教会（もちろん、プロテスタントで、日本で言うと日本キリスト教団みたいなもの）の教会でした。
ポナペ・ワークキャンプについて
ワークキャンプは日本キリスト教団がポナペに派遣した宣教師の活動を支援することを目的としたもので、第１回目は１９７７年に行なわれ、２００４年の第３０次隊をもって既に終了し、ポナペ支援会も解散しています。
私は２００２年、２００３年と既にポナペ・ワークキャンプに参加しました。それぞれ２週間の日程で、参加者およそ１３名と１８名でしたが、その時のワーク内容としてはオアという地域にあるキリスト教主義高校の施設を建てることを手伝い、オア教会を始めとする教会の人々、教会学校の子供たちと交流の時を持つというものでした。実際に、ワークを行なってみると、非常に労力を使い、その気候と相まって汗だくになりますが、充実した一時でもありました。
今回の旅について
今回の２００７年８月１６日から２７日までの「交流の旅」には総勢３０数名で行ってきました。しかし、そもそも今回の旅は、「ワークキャンプ」ではありませんでした。８月１６日（木）成田を出発し、ポナぺには１７日（金）午後に到着しましたが、日本と違い赤道の近くということもあって目が潰れるのではないかと思うほど、灼熱の太陽の光が眩しかったことを覚えています。この太陽光には気をつけないと火傷に近いほど酷い日焼けにもなってしまうほどのものでした。
１８日（土）にオア・クリスチャン・ハイスクールで行なわれた故白神先生の「納骨式」は井殿園先生（元日本キリスト教団安中教会牧師）の司式でなされましたが、「いつも思い起こしなさい」という題で、かつて白神先生が「骨のある人間」としてポナぺに「身を投じたこと」から、その信仰、神に従うことの重要性についてもお語りになりました。ポナペの方々がこの式に多く参加されたことで白神先生がポナぺの人々にどのように思われていたかがよく解りました。
日曜日にはワークキャンプの方々と交流を保ってきたポナペのプロテスタント教会の主日礼拝に出席し共に礼拝の時を守りました。礼拝では現ポナペ支援会会長の三浦修先生（日本キリスト教団和光教会牧師）によって今までのワークキャンプと教会との歴史的経過、つながりについて説明がなされ、ポナペ語と日本語とでお祈りがなされました。また礼拝の中で今回の旅行参加者による讃美歌がポナペ語と日本語とで歌われることによって共に神に対する讃美を行いました。
荒川先生からは、様々な場所で何回かにわたり、今までのワークキャンプ、ポナペの教会についてお話をしていただき、その理解を深めることができました。
しかし、今回のポナペへの旅では、ポナペの方々の厚いもてなしによって故白神先生と荒川先生を始めとして、それだけでなく、かつて「ワークキャンプ」に参加された方もどれほど尽力されたのかということと、ポナぺの人々の人をもてなす心や情の厚さというものがよくわかりました（言うまでもない話ですが、すべての歓迎の食事会においてアルコールは一切出されませんでした。その食事会はポナペの教会の人々と参加された方々とを結びつける神に感謝してなされたものでした）。
ポナぺの人々の人柄の良さ、これを日本に持って帰ることができれば、何よりのおみやげなのかもしれません。日本の国が、子供たちが防犯ブザーを持つ必要のない国になれば、どんなに素晴らしいでしょうか。
今回の旅に参加された方々の中には「ワークキャンプ」ではないから参加出来たという人もいましたし、またポナぺの人々に失礼のないように接したわけでありますが、これでポナペとの関係を終わらせてしまうわけにはいかないのではないかというのが私の意見です。２６日（日）の送別会でポナペの教会の牧師が、白神先生の納骨を行ったお墓はポナペの教会が管理・維持し、皆さんがまたポナぺに来られることを心待ちにしている、と挨拶されました。
そもそも、ポナぺ・ワークキャンプを始めた荒川先生はポナペの人々に農業指導などを行うことも含めて日本キリスト教団の海外宣教師として赴かれたわけでありますが、ポナペに建物を建てる、あるいは借りて、年単位でそこに居住し、ポナぺの方々の様々な面でのお手伝い、あるいは、共に働く（たとえば、環境問題、ゴミ処理、交通問題、漁業、農作業、医療）というセンター的な施設を作るのはどうかということも宣教との関わりで考えました。従事する人にはそれなりの条件が必要でしょう。
今回の旅を、神に感謝し、ポナぺの教会の方々、交流の旅を企画した荒川先生を始めとする方々、同行されたメンバーの方々に厚くお礼申し上げたいと思います。